ひねり餅(検蒸)

お酒の原料はいうまでもなく「お米」。

(ひねりもちの作り方)

(ひねりもちの作り方)

酒造りに使われるお米は精米され、浸漬され、蒸し上げられるわけですが、その蒸し具合の良し悪しを見極めるのに、この「ひねりもち」というものを作るのです。別名、「検蒸(けんじょう)」といいます。読んで字のごとく、『(ひねりもちによって)し具合を査する』わけです。

(そうそう、酒造りでは読んで字のごとくというキーワードがたくさん。それについては追々ご説明していきたいと思います)

ひねりもち(餅を伸ばす)

ひねりもち(餅を伸ばす)

(倉垣副杜氏から、小島杜氏へ。)

(倉垣副杜氏から、小島杜氏へ。)

ひねりもちの作り方といえば、蒸し上がったばかりのお米を素手でもってお餅を作ります。ちなみに餅をこねている木の板は「ぶんじ」という道具です。
手で捏ねるのは力も要りますが、蒸米はその時点でかなりの熱さですので、なかなか簡単にはできない作業です。

嘉宝蔵では、ひねりもちは倉垣副杜氏の仕事です。

- – - いつもやってて手、熱くないですか?
「もう何十年もやってるさかい、熱いのには慣れたね。(笑)」とは倉垣さんの談。
ひねりもちを作っている段階で、だいたい今日の蒸しがうまくいったかどうかが手を伝わって分かってくるそうです。熱いのは当たり前ですが、むしろその触感なんかを大事にして作業しているのはただただ関心するばかりです。

さぁ、そのひねりもちを小島のおやっさんに渡してみてもらいます。

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- – - ここでのポイントは?
「そうやね、蒸米は、外硬内軟(がいこうないなん)を理想とし、上粘り(うわねばり)や生蒸せ(なまむせ)を特に注意しとる。」

- – - あ、あのぅ、”上粘り”っていうのは何ですか?
「上粘りっていうのは、水の漬けすぎだったりするんやけど、わかりやすいのは、さっき見てもらった”ぶんじ”にひねりもちがべったりとひっついて”ぶんじ”から取れなくなる状態をいうわけや。」
「また香りを嗅いで、もし変な匂いがすれば浸漬水温に問題があったのかとか米の糠が残ってたのかとか、そういったことを疑うね。それに、蒸しが弱いときは”金平糖”といって、米粒がもちを広げたときに見えるさかい、そういうときには後に続く仕込みの温度を見直してみるかとか指示したり、いろいろなことが、このひねりもちを見てわかるね。」

- – - (素朴な疑問ですが)もしも、失敗したとしたら、この蒸し米たちはどうなるんですか?

「(今までの経験により作業条件が整っているので)極端に蒸しが失敗するということは、そうそうないけれど、こればかりは自然のものを扱っているので絶対ということはあらへんさかい、気が抜けんね。」

蒸し米のでき具合が最終的なお酒の出来栄えにも大きく影響しますので、本当に気の抜けないところです。

※外硬内軟(がいこうないなん):「お米の外側は硬く、内側は柔らかく」という状態。お米の溶け方や麹菌の生育具合に影響を与える、蒸米造りにおける理想の状態。

酛初め

甑初め(こしきはじめ)につづいては、酛初め(もとはじめ)を紹介いたします。

(もと)は、別名『酒母(しゅぼ)』といいます。
酒母とは、お造りのと書きますとおり、酒造りのスタートといえます。

酒母のタイプには、大きく分けて、生酛系酒母「きもと」と、速醸系酒母「そくじょうもと」の2つがあり、
このような半切り桶(はんぎりおけ)を使って、嘉宝蔵の生酛は仕込まれます。
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(酛場(もとば)に並ぶ半切り桶たち。)

半切り桶には、蒸した米と、その米に麹菌を生やした米麹、
そして宮水とが適量仕込まれています。
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(中央で白く粒粒に見える?のが、米麹、その周りが蒸し米です)

これを、人の手によって物料が均一になるまで混ぜ合わせます。
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いったん混ぜ合わせた物料は、低温で寝かせておき、
明日にはまた混ぜ合わせる作業が繰り返されます。

ちなみに、酒母を育てるこの部屋(酛場)の室温は、およそ10℃。
長時間の手仕事は、寒さで身が引き締まります。
(わたしたち、BLOGスタッフは寒さで震えておりました。次からはもうすこし暖かい格好で撮影しようと・・・。)

甑初め

酒造りには、その節目節目でいろんな行事があります。
「甑初め(こしきはじめ)」も、そんなひとつです。

甑(こしき)というのは、米を蒸す為に使う大きな木桶のことでして、
釜の上に置いておき、下からの蒸気で蒸しあげます。
甑を置いてある場所を「釜場(かまば)」といいます。

嘉宝蔵の釜場というのは、こんな感じです。
写真ではわかりにくいので恐縮ですが、この下に大きなお釜が備わっています。
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お湯を沸かしてあるのは、お米を蒸す為だけではなく、
他にも酒造用具の熱殺菌消毒やら、生酛造りの肝である「暖気樽(だきだる)」に詰めるお湯の供給源としても、頻繁に使われるため、釜場は常に蒸気がでています。
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(これが暖気樽)

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毎日まいにち、絶えることなく蒸気を供給する「釜場」はとっても大切な場所です。