お燗研究所

燗酒の意義

みなさん明けましておめでとうございます。お燗研究所です。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

今年は元旦から全国的に寒さが厳しいようで、燗酒を召し上がった方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

さて、今年最初のテーマは、「燗酒の意義」についてです。

はたしてどのような理由からお酒を温めて飲むような習慣が根付いたのでしょうか。

 お酒の語源の一つに「風寒邪気を避ける」という意味から「さけ」と呼ばれるようになったとの説があります。

昔は現在より気候が寒冷だったようです。そのうえ紙と木と土から作られた昔の日本人の住まいは、すきま風が入り保温性が低く、寒い季節にはお酒を温めて飲むことが身体を温める大切な手段の一つだったようです。

 また、貝原益軒の『養生訓』※に見られるように東洋的な医学思想を背景にした自然な食法などの考えに沿って、温かい飲み物は身体に良いとされたのでしょう。

 「甘・酸・辛・苦・渋」の「五味」がほどよく調和した日本酒は、温めると味わいが豊かになるとともに飲み口がまろやかにおいしくなり、料理との相性が広くなるという特長があります。

 秋から冬にかけて豊かになる我が国の海の幸や山の幸のおいしさを温かいお酒がより一層引き立ててくれることを知っていたからでしょう。陶工や窯場の増加と焼き物技術の発達にともなって徳利、盃、炭を用いる火鉢などが普及していったことも関連があったのかもしれません。

 江戸時代後半から一年中燗酒を飲む習慣が一般的になったようですが、お酒を温めて出す「燗をした」という行為が、「一手間かけてもてなした」という意味を持っていたようです。その時代には、冷たいお酒のままお客様に出すことは、心がこもっていない失礼な態度だという考えもあったようです。

以下、燗酒の意義を簡単にまとめると、・・・

①寒い季節に身体を温める

②東洋的な医学思想から温かい酒は健康に良い

③お酒の味が豊かに、まろやかに感じられる

④料理との相性がひろがり、おいしさを引き出す

⑤一手間かけることで“おもてなしの心”が伝わる

 このように、お酒を温めて飲む「燗酒」は今日まで続いてきた文化性の高いお酒の楽しみ方なのです。

 季節の変化、気候、料理、器、雰囲気など様々なT.P.O.にあわせて燗酒を楽しむことは「生活のうるおい」であり「生活のゆとり」であるとも言えるでしょう。

※貝原益軒・かいばらえきけん(1630~1714):

江戸時代前期の儒学者、本草家、庶民教育家。筑前国福岡藩士。名は篤信、字は子誠。通称は柔斎。号は損軒、晩年に益軒と改めた。

※養生訓・ようじょうくん:

全8巻。養生書であり医学書でもある。貝原益軒の著書の中で最も有名なものである。

益軒は、死去する前年84 歳の時に本書を著し、自らの体験に基づいて、精神的修養と自然療法による健康法を示した。「元気を保つ」ことを基本理念とし、摂生による健康維持を説いた本書は、老年期の精神衛生の書として、今日でも愛読されている。

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