日本酒なんでもFAQ

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日本酒のおいしい飲み方、健康的な飲み方は

日本酒は嗜好品なので、人それぞれにおいしく飲む飲み方に若干の違いがありますが、何よりも健康であってこそお酒がうまいのですから、次の点に気をつけることです。

おいしい飲み方

(1)酒をゆっくり味わって飲み、深酒をせずほろ酔い気分を楽しむ習慣をつける。
(2)栄養のバランスがとれた食事をし、料理の味が引き立つような飲み方をする。
(3)おつまみ、肴(魚、豆腐、肉、野菜、海草)など必ず食べながら、酒と肴の味を楽しんで飲む。
(4)自分に適したペースで飲む。

健康的な飲み方

(1)落ち着いた気分で楽しくゆっくり飲む。
(2)自分が気持ちよく楽しくなる適量を守って度を過ごさない。
(3)友人、客にさけの無理強いはしない。迷惑かけない。
(4)多飲したあとの入浴は控える。
(5)他のアルコール飲料と合わせて飲まない(度を超しがちになる)。
「酒は百薬の長」といわれますがなぜですか

適度のお酒は、(1)食欲の増進、(2)ストレスを解消させ気分を安らかにする、(3)陽気な気もちにさせる、(4)ナイトキャップとして睡眠によい、とされます。
また、肌につやを与え、美容や老化の防止に良く、たまご酒など風邪に効果 があります。これらのような効果があるといわれているため、昔から「酒は百薬の長」と呼ばれています。

ひや酒は体に悪いといわれますが本当ですか

ひや酒は、おいしい上に、口当たりが良すぎてアルコール濃度が高いことに気付かず、酔ってくる(血管吸収)のが遅いため(酔いの発現が遅れる)、つい飲み過ぎるおそれがあるので、このように誤解されていると考えられます。

お酒は飲めば飲むほど強くなるというのは本当ですか

結論からいえば個人差先天説で、いくら繰り返しても、生まれつき強い人には及びません。お酒に強い原因は、次の2点にあると考えられます。

(1) アルコールの体内代謝(アルコールの分解速度が欠けているか不足している)が正常であること。お酒に弱い人は代謝の欠陥により、体内にアセトアルデヒドが溜まるため、顔が赤くなったり、動悸が苦しくなるなどの症状が起こる。
(2) 脳細胞のアルコールに対する抵抗性(脳内の科学的物質の遺伝的差異)が強い。

このように、いずれも大部分は生得的遺伝的要因だと考えられています。また、お酒に強い原因を肝臓にあるとする「強肝説」は実験により、強ではほぼ否定されています。

日本酒の飲酒量と肝臓の働きについて教えてください

長寿のための健康的な飲酒量として、毎日飲む場合は体重60kgの人で二合(360ml)くらいとされています。
肝臓の働きは、アルコールを水と炭酸ガスに分解します。肝臓の働きを助けるためにも、お酒を飲むときは、良質のタンパク質を多く含む酒の肴を一緒に食べることが理想的です。

日本酒を飲むと太るというのは本当ですか

太る、太らないは日本酒に限らずお酒と共に摂取するでんぷん、脂肪などのカロリーの多少によりきまってきます。
脂っこい肴を多く食べるビール党に比べ、あっさりした肴を多く食べている日本酒党の方が肥満が少ないと考えられます。

日本酒は糖尿病に悪いですか、焼酎なら良いのですか

日本酒は、焼酎に比べて栄養価が非常に高く糖分もあるので、一般には日本酒は焼酎に比べて、糖尿に関係があるようにいわれています。
しかし、日本酒や米が糖尿を起こす直接の原因ではありません。また、焼酎ばかり飲んでいれば糖尿にならないという保証もありません。
(軽度糖尿病患者の治療に糖分を含む日本酒やワインが用いられた事実もあり、日本酒180ml程度によって血中糖度を低下させる)

日本酒が美容に良いといわれる理由はなんですか

日本酒を飲むと肌がつややかになることから美容に良いといわれています。これは血行がよくなって新陳代謝が活発に行われることや、日本酒中に含まれるビタミン類やミネラル類などの様々な栄養分のおかげではないかといわれています。
さらに、精神衛生上からもストレスが減少することは、体調を良好な状態に維持できることから、美容上も好影響があります。
また、洗面用のお湯または水に日本酒を少量入れると、化粧水として肌につやをもたらす効果があります。

アルカリ性食品が健康に良いと言われていますが、日本酒はどうですか

食品について酸性、アルカリ性という場合、食べた食物が吸収されて血液入った時、酸性を示すか、アルカリ性を示すかで分類されています。
しかし、実際には酸性物質やアルカリ性物質が血液中に入っても、血液中には緩衝物質があるので、うまく受け止められて中和されるものです。

日本酒は中性に近いので、日常摂取する食品全体から考えられると全く影響はありません。(表参照)
たとえば、卵、肉類、マグロなどは強酸性食品であり、ワカメなどは強アルカリ性食品です。しかし、ワカメばかり食べても人間の血や肉はできません。
酸性食品=不健康食品、アルカリ性食品=健康食品という考え方は全く誤ったもので、健康のためには栄養バランスが優先するものです。

酸性食品 アルカリ性食品
酸度 アルカリ度
卵黄 19.2 卵白 3.2
チーズ 4.3 牛乳 0.2
マグロ 15.3 豆腐 0.1
ウナギ 7.5 ホウレンソウ 15.6
エビ 3.2 ニンジン 6.4
豚肉 6.2 ジャガイモ 5.4
牛肉 5.0 シイタケ 17.5
鶏肉 10.4 ワカメ 260.8
落花生 5.4 コブ 10.0
白米 4.3 バナナ 8.8
パン 0.6 リンゴ 3.4
ビール 1.1 ワイン 2.4
清 酒 0.5 コーヒー 1.9

食品100gの灰分を中和するのひ必要な酸またはアルカリの量かアルカリ度、酸度

「酒の肴」に適したものを教えて下さい

きんぴら、いもの煮付けなど簡単なものから、鍋物料理、魚の刺身、酢のもの、うに、そして酒盗などの珍味まで、限られたものでなく和食のすべてに合うのが、日本酒の特長です。
天ぷらや中華料理など油っこいものには、辛口酒がピッタリです(辛口の酒は特に料理の味を引き立たせます)。
豆腐は口中を新鮮にするので、酒の味や肴の味を生かして好まれます。
冷やして飲む「たるびん」にはピーナッツ、サラミなど洋風のおつまみも向いています。

吟醸酒によく合うおつまみはどのようなものがありますか

吟醸酒は、お酒自体の持つ繊細な味や香りを楽しむものなので薄味の淡白な料理が合います。白身魚の刺身や鯛の酒蒸、良質のかまぼこ(醤油やわさびをつけずに)などが、あげられます。
吟醸酒の飲み頃温度は10℃~15℃で酒と料理、双方の味わいが調和します。冷やし過ぎには注意が必要です。

日本酒はどのような酒器で飲むとおいしいでしょうか、盃洗(はいせん)とは何ですか

いろいろなうつわ(盃、ぐいのみ、グラス、コップ、桝など)による飲み方がありますが、どちらかといえば「燗をしたお酒」は、ふちのうすい、ひらたい盃で飲むと日本酒の味感を生かすようです。「ひや」や「冷やしたお酒」も、ふちのうすいグラスがおいしく飲めるでしょう。いずれの場合も油気や水分をよくふきとったうつわで供されることをおすすめします。
盃洗(はいせん)とは杯洗とも書きます。酒宴の席で盃を洗いすすぐために水を入れておくうつわで直径15□くらいの漆器である場合が多いようです。

宴席でのお客様へのお酒のすすめ方と、接待の仕方で気をつけることは何ですか

「もてなす」にはすべてに心のこもり方が優先しますが、「さけ、めし、雪隠(せっちん)」といって、まずよいお酒をすすめることが第一です。あまり無理強いはよくありません。
器、燗の温度、また、相手の希望に対する心配りが大切です。食事は客の好み、年齢に合わせてタイミング良く出すことです。手洗いは清潔さ、気持ちの良い細かい心づかいが大切ということです。
宴席接待における心のこもり方とは、どのような料理をお出しするか先方の好みに合わせ、年配の方ならやわらかいものを準備し、盛り合わせならばお客様に先にすすめること、自分の好きなものを一度に多く取らない、お客様よりも先に酔わない、先方に合わせて食べる、カラオケなど万事無理強いしない、などです。(雪隠:便所のこと)