(研究発表)樽酒が料理の食味に及ぼす影響を明らかに
~樽酒は料理をさっぱりと食べさせ、旨味をふくらませる~

 樽酒には杉特有の爽やかな香りがあることから、うなぎなどの脂っこい料理に合うとされてきました。しかし、これまで樽酒のおいしさや料理との相性について科学的に調べられてきませんでした。この度、菊正宗酒造(株)総合研究所と(独)酒類総合研究所の共同研究の結果、

1.樽酒は口中の油を流しやすく、さっぱりと食べさせる効果がある
2.樽酒は主に魚介類由来の旨味をふくらませ、料理を引き立てる効果がある

ことを確認し、この研究成果を「平成24年度日本醸造学会大会」(9月26日)において発表しました。

 樽酒は日本酒を吉野杉の樽に詰め、適度に樽の香りがのったところを瓶詰めしたもので、吉野杉の爽やかな香りが特長の日本酒です。この樽の香りがあることから、うなぎのかば焼きなどの脂っこい料理と相性が良いとされ、順調に売り上げを伸ばしています。

1.樽酒は料理の脂っこさを軽減する


 マヨネーズを食べた後に清酒または樽酒を飲用し、「脂っこさ」を評価したところ、樽酒にはマヨネーズの脂っこさを軽減する傾向が見られました。そこでこの効果をより詳しく調べるため、清酒と様々な油との間の界面張力(※1)を測定したところ、普通の清酒より樽酒のほうが界面張力を低下することが分かりました(図1)。樽酒は普通の清酒に比べて油に対する乳化能力が高いため、口中の油を洗い流す力が強く、料理をさっぱりと食べさせる効果があると考えられます。

※1界面張力:2つの物質の界面の表面積を小さくしようとする力で、表面張力(気体と液体の界面)も界面張力の一種。界面張力が小さいと乳化が起きやすい。

1.樽酒は料理の脂っこさを軽減する

2.樽酒は料理の旨みを高める


 料理を食べた後に清酒または樽酒を飲用し、「旨み」を評価したところ、樽酒には旨味の強度を高める効果がありました。この効果をより詳しく調べるため、味覚認識装置を用いてそばつゆの旨み強度に与える清酒の影響を調べたところ、清酒には食材の旨み強度を高める効果があり、その効果は樽酒でより顕著であることが明らかとなりました(図2)。このような効果はうなぎやまぐろなど多くの魚介類でも確認できました。


2.樽酒は料理の旨みを高める

3.杉樽由来成分が料理の旨みを高める


 樽酒には旨みを高める効果があることがわかったので、その有効成分が樽酒に含まれる杉樽由来成分にあると考え、そばつゆを用いて杉樽抽出物が旨みを高めるか味覚認識装置を用いて試験を行ったところ、予想通り杉樽由来成分には料理の旨みを高める効果があることが確認できました(図3)。



3.杉樽由来成分が料理の旨みを高める