フルーティーな香気成分を高生産する新酵母の育種に成功

 菊正宗酒造株式会社(本社 神戸市東灘区、社長 嘉納毅人)総合研究所は、低精白米を用いた仕込みにおいてフルーティーな香気成分を高生産する酵母の育種に成功しました。
     
 この研究成果を「平成27年度 日本醸造学会大会」(10月6日)において発表します。

 従来、カプロン酸エチルや酢酸イソアミルなどの吟醸香を特徴とする吟醸酒は、高精白した白米を原料とし、吟醸香を高生産する酵母を用いて低温でじっくり発酵させることにより醸造されてきました。高精白米を用いる場合は、米に含まれる旨み成分が少なくなる為、できあがったお酒はすっきりした味わいの酒質となります。そこで、当研究所では、本来の米の旨みを残しながら吟醸香成分を高含有する純米酒の開発を目指し、低精白米仕込みにおいてカプロン酸エチルや酢酸イソアミルを高生産する酵母の育種を2002年より開始しました。

 育種の第一段階として、酵母を変異処理することにより低精白米を用いた仕込みにおいて酢酸イソアミルを高生産する変異株を取得することができました。さらにこの変異株にカプロン酸エチルを高生産するような変異処理を行うことにより、低精白米仕込みにおいてカプロン酸エチルおよび酢酸イソアミルを高生産する変異株(HA-14株)の育種に成功しました。このHA-14株を用いて醸造蔵での実生産テストを行ったところ、精米歩合70%の白米を原料とした仕込みにおいて、吟醸酒並みのカプロン酸エチル濃度と通常の吟醸酒よりも顕著に増加した酢酸イソアミル濃度を確認することができました。

 菊正宗酒造株式会社では、HA-14株を用いて醸造した純米酒を2015年9月7日より「純米酒・香醸」として全国一斉発売しました。

■学会での発表
学会名:平成27年度 日本醸造学会大会
発表日時:2015年10月6日(火) 14:30
会場:北とぴあ つつじホール(東京都北区王子1-11-1)
演題:「低精白米仕込みにおいて酢酸イソアミルを高生産する酵母変異株の育種」
    ○大原 佑介、猿渡 通代、高橋 俊成、末野 和男(菊正宗酒造総合研究所)(○印は演者)
   「低精白米仕込みにおいてカプロン酸エチルを高生産する酵母変異株の育種」
    ○高橋 俊成、大原 佑介、末野 和男(菊正宗酒造総合研究所)(○印は演者)

■学会での発表