樽香の成分

樽酒を新たな視点から眺めてみよう

 樽酒は清酒を杉樽に貯蔵することによって杉材由来の成分を清酒に付与したものであり、清酒本来の風味に加えて杉特有の香りを楽しむことができます。樽酒は長い年月の間、人々に愛飲され続けてきたことから、嗜好品としての価値はすでに歴史的に認められているものであるといえるでしょう。

 一方、近年社会が豊かになり人々の健康への関心が高まる中、植物の葉、種子、花、樹木などに人間の健康を増進する有効成分が存在することが明らかになりつつあり、これらの有効成分を積極的に利用しようとする試みが多くみられます。森林浴やヒノキ風呂に入ることなどは最も手軽な利用方法といえるでしょう。さらに漢方薬は経験的に人体に有用な植物を発見しこれを利用してきたものであり、またアロマセラピーは植物の抽出物(精油)を利用して健康増進を図ろうとするものです。

 このように植物がもつ健康増進成分を利用するという視点から眺めてみると、杉材由来成分を含んでいる樽酒には香りだけでなく、他の様々な面が見えてくるかもしれません。ところで樽酒にはどのような成分が含まれているのでしょうか?


樽酒にはどんな成分が含まれているの?

当社上撰本醸造酒(A)と樽酒(B)のガスクロマトグラフ分析結果

(A)当社上撰本醸造酒

(B)当社樽酒
ピークNo. 成分名   ピークNo. 成分名
1 α-ムロレン 2 δ-カジネン
3 α-クルクメン 4 α-カラメネン
5 グリーノール 6 キュベノール
7 epi-キュベノール 8 エレモール
9 セドロール 10 γ-オイデスモール
11 トレヨール 12 α-オイデスモール
13 β-オイデスモール 14 コンゴール
15 クリプトメリオン    
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 樽酒に実際に杉樽由来の成分が含まれているかを調べるために、樽酒中の成分をガスクロマトグラフ−質量分析計(GC-MS)という装置で分析しました。

 樽酒と樽に貯蔵しない通常の清酒のクロマトグラムを図に示しました。杉などの樹木やその他の植物にはテルペンという物質が含まれることが知られていますが、樽酒にも多くの種類のテルペン類が含まれることが確認されました。通常の清酒にはテルペン類のピークは全くみられませんので、これらは清酒を杉樽に貯蔵している間に樽から自然にしみだしたものであるということになります。

 さらにこれらのテルペン類のうち15成分を同定しました。(図)一口に「テルペン」といっても色々あるのですが、樽酒に含まれているのは「セスキテルペン類」(炭素数15のテルペンの総称)であることがわかりました。また樽酒中のセスキテルペン類の大部分はセスキテルペンアルコール(No.5-14)から成っていました。

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