第5巻 品質管理

品質の変化(1)色の変化

ビン詰め後の着色には、主に下記の3つの理由が考えられます。

  • (1)鉄などの金属が混入した場合
  • (2)日光にさらされた場合
  • (3)日数が経ち古くなって、熟成が進みすぎた場合

(1)鉄による着色

鉄が日本酒に混じると「フェリクリシン」という色素が生成され、赤褐色に着色します。この色素は活性炭などを用いても容易には除去されないので、鉄分がお酒に入らないことが肝心です。仕込水などに含まれる鉄分が少ないことが最も重要ですが、充分に洗ビンすることも大切です。

(2)日光による着色

日本酒が日光に弱いことは、透明ビンに入ったお酒を直射日光に当てると3時間あまりで3~5倍に色が濃くなり、味も香りも悪くなってしまうことからも明らかです。また紫外線の少ない室内でも、散光によっても徐々に着色は進んでいきます。光による着色反応はいずれも酸素を必要としています。

(3)熟成による着色

日本酒は貯蔵するに従って着色してくることは一般によく知られています。これは熟成する過程で、お酒に含まれる糖分とアミノ化合物によって起こる化学反応によるもので、醤油や味噌の色もこれと同じです。このような着色は貯蔵温度が高いほど、pHが高いほど、アミノ酸が多いほど大きくなります。また鉄、マンガン、銅などの重金属があればより一層早く進みます。