樽酒は杉樽に貯蔵することでさわやかな香りをまといます。この貯蔵中に杉樽由来の様々な成分が清酒中に溶け込みます。これらの成分のうち、主要な物としてセスキテルペン類やジテルペン類、ノルリグナン類が挙げられます。この中でも最も多く含まれているのがセスキテルペン類で、ガスクロマトグラフで分析することで10種類以上の成分が確認できます。これらの成分は杉樽から出てくる成分なので、杉樽に貯蔵していないお酒では検出されません。
樽酒に含まれるセスキテルペン類には、エピクベノール、β-オイデスモールなどが挙げられますが、これらの成分は漢方薬などに含まれている成分も存在します。たとえば、β-オイデスモールは漢方薬の蒼朮の主成分でもあります。