中干し

田植えの後、田は常に水が湛えられた状態になっているため、放っておくと稲にとって有害なガスや酸が発生し根の発育に悪影響を及ぼします。そのため時々水を抜いて田干しを行う必要があり、これによって土中酸素が補給されると共に、有害ガスも放出されるため稲の根の発育は旺盛になります。

特に出穂前40~30日の間は水の必要程度の最も少ない時期で、田干しすることがかえって増取をもたらします。この時期の田干しを、特に「中干し」と呼んでいます。

この時期は無効分けつ期、又は分けつ衰退期で、中干しすると土中深く酸素を送ることになり、根の力の衰えを防ぐと共に窒素の過剰吸収を抑え、カリウムの吸収を良くし根を硬くします。その上この時期に干しつけることで、稈基部の節間の伸張を抑えかつ丈夫にするため、倒伏にも強くなります。倒伏に弱い酒米品種にとっては特に大切な注意事項の一つです。

酒米は地力の良いところでないと良質のものが生産されないので、酒米の適地と言われる田はいずれも中庸以上の地力を持っています。そして中干しは、地力の高いところ程大きな効果を発揮するため、山田錦を造る上では大変重要性の高い作業なのです。

PAGE TOP