
樽酒が料理の味わいを高めることは江戸時代から知られていますが、なぜおいしくなるのか? は解明されていません。
人の食感覚だけで語られがちなこのテーマを、今回は科学で紐解いてみました。
樽酒と相性がよいとされている「うなぎ」。味わいの特長であるこってりとのった脂は、旨みのもとになる反面、くどさにもつながります。日本酒を科学的に研究している菊正宗酒造総合研究所は“樽酒がうなぎをおいしく食べさせるのは、脂っこさを軽減させているから”という仮説を立て、樽酒と油の関係を調査しました。
まずは、口の中の感覚を知る試験を実施。結果、樽酒は他の飲料に比べて口内の残油感を軽減させることがわかりました。さらに、洗剤のように油を乳化させて洗い流す効果があることも判明。
うなぎなど脂っこい料理に樽酒を合わせると、すっきりとした旨みが味わえる。江戸の時代から、人々が自らの食体験で培ってきた樽酒×料理の相性は間違っていなかったのです。
“樽酒に合うのは和食だけ”なんて思っていませんか? いえいえ、さわやかな杉の香りをまとった樽酒はモダンな洋食とも相性バッチリです! もちろん、チーズやナッツなどワインに合う洋風おつまみと合わせてもおいしい。今度の家吞みは、ちょっとおしゃれな洋風おつまみで、樽酒の新たな魅力と出会ってみませんか。