持続可能な未来を実現するための

環境に配慮した
企業活動

森の世話人活動

かねてより酒造りに欠かせない醸造用水の保全のため、西宮市宮水保存調査会、灘五郷酒造組合水資源委員会における活動に加え、住吉川クリーン作戦にボランティアとして参加してまいりました。このたび、醸造用水の源となる六甲山の森と自然を守る「森の世話人」活動の主旨に賛同し、活動団体として登録されることとなりました。

今後は、六甲山において、伐採・植樹等の活動に取組み、豊かな水資源を次の世代へ引き継いでいけるよう、森の保全に協力していきます。

※森の世話人活動
国土交通省六甲砂防事務所が主宰する六甲山系の森の保全活動。市街地に近い六甲山地の斜面を樹林帯として守り育て、防災機能の強化と自然豊かな生活環境を確保する「六甲山系グリーンベルト整備事業」への市民・企業の方々の参加を進めています。

吉野杉保全活動

菊正宗酒造は、日本酒を木の樽に詰めて、香りが程よい頃に取り出し、瓶、パック、カップ容器に詰めた樽酒製品の全国シェアが70%を超えています。この樽の材料として100%使用しているのが、奈良県吉野で生産されている吉野杉です。菊正宗酒造の樽酒の味と香りは、現在までのところ、吉野杉以外の木材では再現することができていません。味と香りを守り続けるには、吉野の杉林を持続可能なものとしなければなりません。
他の産業と同じく、吉野地域においても外国からの安価な輸入木材に押されて杉に携わる人々が減ってきた過去があります。しかし吉野杉が樽酒となるためには、長い年月をかけて育った杉を伐採する人、杉を製材する人、それを樽材に加工する人、そして最後に樽材を樽に組み上げる人がいて、初めて1個の樽が出来上がります。そしてまた杉の植樹がなされ、長い年月をかけて杉の育成がなされなければなりません。この長い期間にわたる循環を途絶えさせないために、自社で樽作り職人の育成を始めています。また良質な吉野杉を育成させるために必要な杉の間伐作業の助けとなるように吉野杉の間伐材で作った箸を購入し、会社の食堂の箸として使用しています。
今後も、吉野地域と菊正宗酒造が末永く循環できる取組があれば、積極的に関わりたいと考えています。

環境に配慮した
製品を製造するための
資材を使用します。

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    ガラスびんを製品容器に使用し、リユースシステムによる循環型製品容器の利用をしています。  
    日本酒容器のリユースは100年以上前から仕組みがあり、リターナブルびんとして長年このシステムの中で、繰り返し使用されてきた歴史があります。ガラスびんを繰り返し使うことは、原料である天然資源を節約し、容器製造時に発生するエネルギーを減らし、地球温暖化の原因とされるCO2の排出量を大幅に減少させることにつながります。

  2. 米を精米すると発生する副産物の米ぬかを再利用したライスインキを紙パック容器の印刷に使用しています。
    米ぬかは、食用の白米に精米する際に発生します。副産物として再利用されるものと、廃棄物として取り扱われるものがあり、ライスインキは、廃棄される米ぬかを再利用して製造されたものです。廃棄物を原料として再利用することで循環型の資源利用に貢献できると考えています。さらに、米ぬかという植物由来の原料を利用し、石油由来のインキ使用を減らすことで、CO2削減の効果もあります。
    菊正宗酒造では、現在パック製品のうち7製品にライスインキを使用しています。パック製品の中で、使用構成比は約20%です。2030年には、パック製品の100%使用を目指します。

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    新たな取り組みとして、2022年3月現在で4製品の紙パック資材にFSC森林認証紙を使用しています。
    FSC認証制度は、持続可能な森林資源の保全を目的とした国際的な認証制度です。適切な森林管理がおこなわれているかを評価し、その森林から生み出されるものであることを証明するものです。消費者が適切に管理された森林からの原料を使用した製品を購入することで、持続可能な森林保全が促進されると考えられています。
    FSC森林認証制度に基づく森林認証紙を製品資材として使用することで、世界の森林資源の保全に協力できるものと考え、新たな取り組みとして一歩踏み出しました。

CO2排出量の削減

菊正宗酒造では、環境負荷を低減するため2019年に醸造蔵で使用しているボイラー燃料を重油から都市ガスに転換いたしました。この燃料転換により、CO2の排出量は年間445t削減することができ、これは当社で年間排出するCO2量の約1割に該当いたします。これからも、CO2排出量の削減に可能なことから取り組み、気候変動の緩和に努めてまいります。

その他省エネ・CO2排出削減の取り組み

  • 従来蛍光灯(工場の一部では水銀灯)を使用していた照明について、順次LEDへの置き換えを進めています。2021年11月現在、テナント物件を除く全事業所の合計で約47%までLED化が完了しました。そのうち事務所棟や酒造記念館などでは約70%、工場や倉庫棟では約40%となっています。これを2030年までに100%とすることを目標に、より多くの照明器具を使用する工場を中心に取り組みを加速して環境負荷の軽減を図ります。
  • 構内のフォークリフトをガソリン車からバッテリー式に更新したことで、年間約1tのCO2排出量を削減いたしました。