伝統技術の継承と発展による

豊かな酒文化と
健康的な生活への貢献

適正飲酒への取り組み

日本酒にかぎらず、アルコール飲料はお客様それぞれに適正な量や飲み方があります。適正飲酒が、お客様の心身の健康を維持し、ご家族やご友人とのコミュニケーションを豊かにします。
酒類業界全体でこの適正飲酒への取り組みを推進していますが、菊正宗酒造でも、未成年者・妊産婦の飲酒や健康を害する飲み方(一気飲み等)に対して注意喚起する活動を行っています。また社内では、適正飲酒について研修を通じて理解を深め、酒類メーカー従業員として社会の模範となるべく意識づけを図っています。

伝統技術を継承する活動

「菊正宗」の特徴である辛口の酒質を醸し出すのが、江戸時代から続く「生酛造り」。水と米と米麹から、乳酸菌の力を借りて昔ながらの手作業で4週間かけて酵母を育てます。生酛で育った酵母は高濃度のアルコールに強く、穏やかではあるものの、もろみ末期までしっかり発酵するので、できあがったお酒は、雑味成分の少ないきれいな辛口となります。

この丹波杜氏伝承の生酛造りを後世へ継承するため、社内で醸造責任者(杜氏)を育成し、嘉宝蔵における寒造りにおいて技術の継承を行っています。また、杜氏の勘と舌に頼ってきた生酛造りを、科学的に分析する研究も進めており、原料米に含まれるたんぱく質の分解産物であるペプチドが生酛造りのお酒に多く含まれることを明らかにしました。このペプチドが生酛造り特有の「押し味」を生み出すと考えられています。

生酛造りについて

江戸時代、灘の酒は樽廻船と呼ばれる千石船で江戸に運ばれ、上方からの「下り酒」として人気を博しました。日本酒が大きく広まった江戸時代、すべてのお酒は樽酒でした。なぜなら、樽はお酒を運ぶ容器だったからです。菊正宗酒造では、「昔ながらの香り高い樽酒を家庭で手軽に楽しんでもらいたい」、そんな想いから、樽で寝かせたお酒をびんに詰める「樽びん」を誕生させました。現在、樽酒を持続的に造っていくため、樽酒マイスターファクトリーを創設して3人の職人たちが樽酒造りに欠かせない杉樽づくりを行っています。また、杉樽づくりの技術を継承するため、社内での後継者育成にも取り組んでいます。

樽酒マイスターファクトリーについて

機能系製品を美味しく提供するための開発

様々な社会環境の変化により、健康意識が幅広い世代で高まっています。特に、糖質の摂取量に注意しながらお酒を飲んでいるという方も増えており、食事とお酒を思いっきり楽しむことが難しくなりました。健康を気にしながらも少しでも食事とお酒に満足したいという声がありましたが、今まで日本酒において、日本酒らしい味わいを残しつつ糖質制限のお酒を実現できず、おいしさをあきらめなければなりませんでした。しかしながら、食事とお酒は日々の貴重な楽しみであり、活力でもあります。そんな時間を気兼ねなく大いに楽しんでもらいたい、との思いで研究を重ね、糖質を制限しながら、日本酒本来の味わいを存分に感じられる機能系製品の開発を始めました。

しぼりたて糖質オフパック

『しぼりたて糖質オフパック』は、日本酒本来の「旨み」をキープしながら、低糖質の日本酒で気になる「苦味」を抑え、スッキリとした後味を実現しました。特許酵母「HA-14酵母」により引き出される、大吟醸のようなフルーティーな香りと、しぼりたてのお酒を生のまま低温貯蔵し、パック詰め時のみ加熱処理したことによるフレッシュな味わいで、体にやさしくおいしい低糖質のお酒を開発いたしました。

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糖質ゼロ

『糖質ゼロ』は、糖質ゼロ・プリン体ゼロでありながら、日本酒らしい味わいを叶えた商品です(スピリッツ規格)。

糖質・プリン体ゼロでありながら日本酒らしい味わいを実現するために、菊正宗酒造が生み出したのは特許ブレンド製法です。日本酒の味を作り出している特定のアミノ酸(アラニン・グリシン)に注目して、それをバランスよく配合し、糖質・プリン体ゼロでありながらそれを感じさせない日本酒らしい味わいに成功しました。健康が気になる方だけでなく、日常酒としても楽しめる飲み飽きしない味わいに仕上げました。

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酒造りで培った発酵技術を
活用した健康食品の開発

健康に役立つ様々な成分がお酒には含まれており、その効果や有効性に着目し、長年にわたって研究を重ねてまいりました。一方で、自然の乳酸菌を利用する「生酛造り」を江戸時代からまもり続けてきた結果、優れた機能を持つ乳酸菌と出会うことができました。この乳酸菌のチカラと酒造りで培った発酵技術でお客様の健康を支えたいという想いから、米のしずくは誕生いたしました。

米のしずく

『米のしずく』は、菊正宗360余年の歴史と伝統で培った高機能な乳酸菌「LK-117」と、多くの有用成分を含む国産米「ホシニシキ」から作られた、まったく新しいタイプの健康飲料です。

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酒粕の有効利用と健康食品の開発

菊正宗酒造では、酒粕の有効利用についても検討しています。酒粕は清酒醪を搾って、清酒を製造した後の残りですが、粕(カス)と言った語感からは考えられないほどの栄養成分を含む食品です。これまでも酒粕は無駄にすることなく利用されてきましたが、その価値が広く理解されて多くの人に利用されてきたとは言い難いところがありました。そこで、菊正宗酒造ではレトルトパックで簡単に食べられる酒蔵のかす汁や缶入りですぐに飲める大吟醸de甘酒、更にはもともと酒粕に含まれていることが知られている健康成分5-アミノレブリン酸(5-ALA)を強化した5-ALA入り甘酒といった製品など、酒粕を手軽に利用できる食品を開発しています。また、酒粕に含まれるビタミンの一種である葉酸など有効成分の研究も行い、更に健康に配慮した食品やサプリメントなどを開発して酒粕の良さを多くの人に伝えていきたいと考えています。

和食普及への取り組み

和食普及研究会

和食は平成25年12月に「日本人の伝統的な食文化」としてユネスコ無形文化遺産に登録されました。また和食は、日本人の長寿健康の源でもあります。日本は春夏秋冬と四季があり、食材の旬を活かした料理があり、旬の食材は季節感を表現するだけでなく、美味しく、栄養価も高いです。和食の食材の中でも、主食となるのは、日本酒製造には欠かすことができないお米です。戦後長きにわたり、日本では洋食化が進み、お米の消費は低下し続けていますが、地域の農業を守り、日本人の健康寿命を伸ばす意味でも和食の普及は必要不可欠なものと考えています。
菊正宗酒造は、昭和60年に設立した和食普及研究会に参加し、和食の普及に取組み続けています。

和食普及研究会のHPはこちら