第2巻 日本酒の原料
宮水の特徴
宮水は六甲山系の花崗岩からなる砂礫層を通過した良質の地下水に由来しており、酒造りに必要なミネラル分を豊富に含み、有害な成分が極めて少ないという特徴を持っています。
有用な成分として、カルシウム、カリウム、リン、クロール等の成分が豊富で、硬度は8~9にもなります。これらのミネラル分は酵母菌をはじめ様々な微生物の栄養となって、健全に力強く醗酵し、すっきりとした辛口のお酒となります。そのため宮水で仕込まれた酒は、搾り立てでは多少荒々しい味ですが、夏を越して熟成が進み、秋を迎えると、香味が整い、味もまるくなって酒質が一段と向上してきます。このことを「秋晴れ」がすると言います。
一方、酒造りに有害な成分として第一に挙げられるのは鉄分です。水に鉄分が多く含まれていると、お酒を黄色から褐色へと着色させ、次第に雑味を感じさせるようになってしまいます。宮水はこの鉄分をほとんど含んでいないため、酒造りには最適の水となっているわけです。

菊正宗宮水井戸