第5巻 品質管理

品質の変化(2)香りの変化・濁り

(A)香りの変化

ビン詰め後、時間が経つに従って熟成と着色は進み、お酒の香りも変化していきます。高い温度での貯蔵が一定期間を過ぎると、一般には「老香・ひねか」と呼ばれる不快な過熟臭で、老酒(ラオチュウ)様の香りが強く感じられるようになってきます。

光の影響を受けたお酒は、濃く着色すると共に「ビン香」または「けもの臭」「日光臭」と呼ばれる独特の不快臭が発生します。

また、乳酸菌の一種である「火落菌(ひおちきん)」に汚染されたお酒は、「火落香」と呼ばれる特有のダイアセチル臭がつきます。

(B)濁り

濁りの原因には、「火落ち」「タンパク混濁」があります。

火落ちは火落菌の増殖によるもので、出荷前のビン詰め温度が低すぎたり、濾過が不十分だったことが原因で起こります。

タンパク混濁は「白ボケ」とも呼ばれ、お酒が一様にうっすらと濁ってしまいます。これは出荷前の滓下げ濾過が不十分なために、お酒に含まれる麹からの酵素タンパクが凝集したものです。お酒の味や香りには特に変化はありませんが、商品価値はなくなってしまいます。

タンパク混濁の場合、お酒を約65℃以上に温めると消えてしまい、また火落ちではビンを回すと底の方から渦巻き状に濁りが舞い上がりますから、栓を開けずにどちらが濁りの原因かを知ることが出来ます。