第4巻 唎酒

清酒の色・香り・味とその表現

1)色(色と濁り)

ほとんどの市販酒は活性炭を使用して濾過する過程で色が薄くなっています。そして色の濃さと品質(老化)にはある程度相関があり、直射日光を浴びると数時間で着色し味も悪くなることから、「色がある・色が濃い」などの表現は欠点として使われがちです。
また現在のお酒は瓶詰までに精度の高いていねいな濾過をしていますから、濁りがあるのは製品の管理に問題があるもので、「くもり」がないことが大切です。
清澄度の高い、光るような透明度のお酒は「サエがある・テリがある」と表現されます。

2)香り

お酒の香りにはその原料、製造工程に由来する香りと、他から移ってきたり、瓶詰め以降に発生する香りに分けられます。
前者の香りには「吟醸香」「こうじばな」「酵母臭」などがあり、後者には「木香」「炭素臭」「ビン香」「老香」などがあります。

3)味

お酒の味は五味と言って「甘・酸・辛・苦・渋」が調和しているのが良いとされます。お酒の味の中で最もポピュラーな話題は甘口・辛口ですが、これは清酒中に含まれるアルコールと糖分の多少、及び酸の量が大きく影響します。糖分が多くても酸が多いと甘みは酸でカバーされ、それほど甘く感じませんが、逆に糖分が少なくても酸が少ないと、糖分の甘さをそのまま舌に感じ甘くなります。また飲む時の温度も甘辛の感覚に影響を与えます。
一方お酒の濃い・薄いは糖分と酸が主に関係し、両者が多いと濃醇と感じ、「コクがある、おし味、はばがある」などと言い、少ないと淡麗な薄い味と感じます。またこれらの成分のバランスが悪く、いやな味と感じられる時には「雑味がある、くどい、きたない」などとなり、逆に調和している時には「なめらかな、きれいな、丸い・・」という表現になります。