第4巻 唎酒

唎酒に及ぼす生理的な影響

1)対比効果

スイカに塩をかけて食べるとより甘く感じたり(同時的)、甘いものを食べた後でミカンなどを食べるとより酸っぱく感じたり(経時的)するのは日常よく経験することです。例えば濃いお酒の後にきくお酒はより薄く感じます。

対策:試料酒の配列順序を変えて繰り返し行います。

2)記号効果

特定の記号や番号に対する好みで結果が偏ることがあります。数字では4(死)や9(苦)が嫌われ、5・3・1・8などが好まれます。

対策:記号・番号の代わりに図形を用いたり、サンプル酒の記号を付け替えて繰り返し行います。

3)順序効果

多人数で全く同じお酒を2点きき酒すると、最初のお酒によい評価が偏ることが確かめられています。即ち、品質に関係なく、先か後か、または置かれた位置によって過大な評価がなされることがあります。

対策:試料酒の配置順序を変えて繰り返し行います。

4)期待効果

市販酒をきき酒する場合など、ラベルなどがあると、先入観や予備知識のために、判断に大きな影響を与えます。

対策:試料酒をラベルのない同じビンに入れ替え、暗試料にします。

5)疲労効果

次々ときき酒を続けていくと、鼻や舌がマヒして嗅覚や味覚が鈍くなり、的確な判断ができなくなります。

対策:試料酒の数を少なくしたり、途中で休憩をします。