日本酒なんでもFAQ

お酒のプロが答える日本酒なんでもFAQです。
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樽詰(菰かぶり)のお酒はどのようにして詰めるのですか

水または湯を樽の半分以上入れ、しばらく放置してサシ(杉板の隙間から漏れて出る酒のこと)がないか調べるとともに、水振りして内部をきれいに洗った後、逆立ての台にのせて充分に水切りし、所定量の酒を鏡(樽の上面の蓋)についている栓の穴から入れ、栓の上に注意書シールを貼り、割印します。
次に、菰に色鮮やかに銘柄商標マークなどを印切り(菰に書くこと。近年はあまり用いない言葉)した化粧菰をていねいに巻き、とじ縄をかけて菰冠樽ができあがります。菰冠樽のことを本荷造り(本荷)ともいいます。
化粧菰を巻かない本樽に銘柄の刷り込みをしたままのものを仮巻きまたは裸といって、輸送中汚れないように刷り込みの上を薄菰で腹巻きし、三分ないし五分の三つ縄を掛けて出荷します。近年は、薄菰の代わりに紙やビニールで巻いているものも見られます。

「樽酒の瓶」商品はどのようにしてつくられるのですか

よく熟成した原酒(アルコール分19~20度)を72L入りの杉樽(赤味樽)に詰め、一番香りのよい飲み頃の樽詰酒となった時に取り出して濾過の後、割水し熱酒びん詰を行って出来上がります。
樽詰だと日数がたちすぎると木香がつきすぎますが、「瓶詰め商品」は普通酒と同じように日持ちします。

「鏡開き」とはどうすることですか、どのようなときに行うのですか

酒樽の上部の板、フタ(通称、鏡という)を木槌でたたいて取りはずし、酒を酌むことをいいます。これは祝い事(結婚披露、落成・竣工式、祝賀会、記念パーティーなど)に行います。会場全体に芳香が充満する上に、同じ樽から全員が酌みかわすので一体感を生じて和気が高まります。威勢よく鏡を割る場合と取りはずすケースがありますが、景気よく力を入れて割る場合が多いようです。

菊正宗の本荷樽に書かれた「聲譽秀天涯」とは何ですか

名声や栄誉が天涯(世界の果てまで)に優秀であると、とどろきわたっているという意味で「セイヨテンガイニヒイズ」と読みます。

樽は吉野杉でなければいけないのですか

吉野杉の産地は気候温暖で雨量の多い紀伊半島にあり、香りもすぐれており、杉の木目が平均化しているところから、古くから酒樽としては吉野杉が最高とされています。

「甲付(こうつき)樽」、「赤味(あかみ)樽」とは何ですか、その違いは何ですか

杉の丸材を見た場合、表皮に近い部分は白く、中の部分は赤い色をしています。赤い部分の板のみで作ったものは赤味樽、表が白く内側が赤味の材質で作ったものを甲付樽といいます(白と赤の境目半々)。

甲付樽は少量しかとれないため価格は高くなりますが、 表面が白く見た目に美しいものです。ただし、酒の木香は赤味の材質によって着香します。

「タルナカ」、「タルゾコ」とは何ですか

樽詰における木香の着香度合の表現用語です。料飲店で昔用いられましたが、今はあまり使われていない言葉です。
タルナカ(樽中)は中味が半分くらいになった状態で、木香がちょうど程良い頃(のみたてをした最初の頃は木香がうすい)です。
タルゾコ(樽底)は中味の残りが少なくなった状態で、最も木の香りも強く、色も濃くなった樽酒をいいます。 酒通の方に好まれます。

杉香の良さはどのように説明すれば良いのですか

吉野杉による自然香の芳香と、キリッとひきしまった酒の味を出している点です。

「いちあき」とは何のことですか

いちあきとは一度使用した酒樽のことです。これに酒を詰めた場合、木香の着香がゆるやかになるところから昔は好んで用いられました。現在は、いちあきは酒樽としては使用されておらず、主として漬け物業者で再利用されています。