日本酒なんでもFAQ

お酒のプロが答える日本酒なんでもFAQです。
知りたい項目を選択してください。

唎酒(ききしゅ)の目的を教えてください

お酒を造る人、売る人、飲む人それぞれに違った目的がありますが。例えば、醸造段階では醗酵の異常や異臭の有無を調べ、出荷段階では味や香りを調べ、販売や消費の段階では香りや味の特徴を見極めるために行われます。

唎酒の手順を教えてください

(1)色・にごりを見る(透明度、サエ)…唎猪口の蛇の目で判定する。
(2)香りをかぐ(上立香)。
(3)口中香をかぐ。
(4)味をみる、五味をみるため舌の全面に酒をまわす(全体的バランス)。
(5)はき出したあとの口中の後味をみる。

唎猪口(ききちょこ)の底の模様は何のためですか

唎猪口は、白い磁器製で内側の底に青い輪が2つ描かれています(蛇の目模様)。この蛇の目の部分でお酒の透明度(サエ・テリ)を判断します。

唎酒の注意点は何ですか

静かな場所と室温(20℃位 、酒の温度18~19℃)を選びます。
化粧品など匂いの強いものはつけないようにします。たばこ、香水の使用は厳禁。きき酒前に刺激物を食べない、満腹時は好ましくありません。

どうすれば唎酒能力が上達しますか

唎酒能力は後天的に獲得する部分が多いので、練習を積み重ねることが大切です。優れた経験者のもとで訓練を繰り返すことが一番ですが、日常お酒を飲む際にも注意して香りや味を確かめ、メモをする習慣をつけることも有効です。

日本酒の甘口、辛口はどのようにして決まるのですか

日本酒度と酸度または直糖度によって見分けますが、日本酒度(比重)のみで表現するのが一般的です。しかし、人間の舌または喉越しで感じる甘辛には酸度も大きく作用するため、日本酒度と酸度または直糖度との関係(バランス)で判断するのが、最適といえます。

辛口酒は飲み飽きしないと言われていますがなぜですか

生酛(昔ながらの手造りによるもと)醸造の辛口は、ゴク味ばかりでなく、生酛に由来する非常に芳醇な香りを放つ特長があります(菊正宗は独特の香りがあります)。
辛口酒が飲みあきしないのはべとつく甘さがなく、すっきりした喉越しで新鮮な気持ちで酒が飲め、料理もおいしく食べることができるからだと考えられます。

日本酒度とは何ですか

日本酒の比重のことで、酒の甘辛の目安として用います。日本酒度計(ボーメ計の一種)という比重計で測定し、プラスが高くなる程辛口であり、マイナスが高ければ甘口ということになります(15℃の温度で測定)。糖分の多い酒は、水より重いので比重計はマイナスを示します。

酸度とは何ですか

酒母や醪の濾液または酒の中には、乳酸やコハク酸その他の有機酸が存在し、酒の味覚を構成しています。すなわち同じ日本酒度であっても酸が多いと辛くキけ、少ないと甘くキけます。酸度は酒10mlを1/10Nの苛性ソーダで中和した時の量(ml数)で示されます。

甘辛の感じ方はお酒の温度によって代わるものですか

舌の感覚は15℃~30℃で鋭敏に働き、これより低くなると感覚を麻痺させ、高くなると痛覚を与えるといわれています。甘味は低温から高温になるにつれて増大して、37℃で最高となります。酸味は10℃~40℃の間で変わらないことが知られています。

老香(ひねか)とは何ですか

日本酒の貯蔵中やびん詰後の市販酒に現れる香りで、特に高い温度で長期間おかれた場合に顕著に出てくる特有の不快臭で過熟臭(かじゅくしゅう)ともいわれています。老酒(らおちゅう)様の香りがします。

びん香とは何ですか

びん香といっても、ガラスの香りのことではありません(びんには香りはない)。
びん詰にしてから品質劣化により生じる香味感のことをいいます。光線をうけたり温度の高い場所に置かれた場合に生じます。

甘・辛・ピンとは何ですか

「アマ」とは甘味のことで、「カラ」は辛味、「ピン」とは喉越しの時に感じるひきしまった味をいいます。この三拍子の味が揃うことが、良い酒の条件とされます(菊正宗は特にピンの感じる点に特長があります)。
お酒のまろやかな味とは円味を帯びたおだやかな味のことで、アルコールや酸のピリリとした刺激の味感が和らいだ味をいいます。マイルドアンドスムーズな味、日本酒の熟成、または完成されたバランスのとれたうまい味感のことです。

酒の「コク」とは何ですか

「お酒の五味(ごみ)」と呼ばれる甘、酸、辛、苦、渋の五つの味が複雑にからみ合い、バランスを保ちながらつくりあげているうまい味のことをいいます。
主として、アミノ酸、糖分、コハク酸や種々の物質の味がうまみ、すなわちコクを造り出しているといえます。
しかし、アミノ酸量が多すぎれば雑味のあるきたない酒、少なすぎればさらっとしたうすい酒となります。コクは深味、濃味、芳醇味、うまみ、ふくらみそして極味(ゴク味)といわれています。

日本酒の「秋晴れ(あきばれ)」または「秋栄え(あきばえ)」とは何ですか

春にできあがった新酒は、夏を越し、秋になって熟成し、まろやかな味と芳香を放つ良い酒となります。これを秋晴れ、または秋栄えの酒といいます。
これは、宮水を使用した酒だけが持つ特長のひとつです。

日本酒のおいしい飲み方、健康的な飲み方は

日本酒は嗜好品なので、人それぞれにおいしく飲む飲み方に若干の違いがありますが、何よりも健康であってこそお酒がうまいのですから、次の点に気をつけることです。

「おいしい飲み方」
(1)酒をゆっくり味わって飲み、深酒をせずほろ酔い気分を楽しむ習慣をつける。
(2)栄養のバランスがとれた食事をし、料理の味が引き立つような飲み方をする。
(3)おつまみ、肴(魚、豆腐、肉、野菜、海草)など必ず食べながら、酒と肴の味を楽しんで飲む。
(4)自分に適したペースで飲む。

「健康的な飲み方」
(1)落ち着いた気分で楽しくゆっくり飲む。
(2)自分が気持ちよく楽しくなる適量を守って度を過ごさない。
(3)友人、客にさけの無理強いはしない。迷惑かけない。
(4)多飲したあとの入浴は控える。
(5)他のアルコール飲料と合わせて飲まない(度を超しがちになる)。